加速

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それが、あんまり俺に向けられないことが、一番の不服だけど。 「イチさんが言ってくださいよ」 「あー、ムリ」 ――めんどくせえし。 「したらば私はもっと無理だもん」 「キャラ的に許されるって」 したら、お前の力になんねーだろ? 俺が助けたら。 「間違ってないなら、言やいーんだよ」 「それ、イチさんが言うの?」 ……。 「ナニが」 それ、どういう、意味。 「あー、腹へった」 「そうですね」 誤魔化して、ばっか。か。俺。 わかってる でも、 居心地がいーの、お前といると だから、失いたくないって、恐怖 悟られるわけには、いかないだろ? 格好悪くて、そんなん 見せたくない――のに 「先にチェックイン済ませてから、15分後にロビーに集合だぞー」 ビジネスホテルについて、出野部長がそう皆に伝えた。 それぞれにチェックインを済ませて。 エレベーターに乗り込む。 皆が次々にエレベーターを降りていく。 停止した階は、16階。 ――降りたのは 「あれ?お前だけ?」 偶然とは恐ろしい。 「……みたいですね」 向かい、斜め。 成田の、部屋。
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