知らないキス

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梅雨時期はジメジメしてて気分も落ち込んでしまいそうだけど。 「今日はハチミツレモンだよ!」 美穂の顔には笑顔があって、 「やった! 俺、これ大好き!!」 飛び跳ねるコータがいて、 「真咲さん、コータのだけ別の入れ物にして。こいつ、ほっといたら全部食べるし」 汗だくになりながらもアキの突っ込みも健在で。 そして、週末には試合があって――。 「コータ! 最後まで攻めろ!!」 「おう!!」 体育館の空調なんて意味の無いものに感じるほど暑い館内。 歓声にガラス窓はビリビリと震え、床を蹴る振動に座ってなんていられなくて、 「コータ! スリー!!」 コータの手から離れていくボールはスルリとゴールネットをすり抜けて。 ピッピー!! 試合終了の笛が鳴る。 それは決して楽勝とはいえない数字だけど、 「勝った――!!」 志筑高校は地区大会を勝ち抜くことができた。
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