知らないキス

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どんなに将来が見えなくても進路は自分で決めないといけない。 なんて、今時分にこんなことを悩んでるのはもう既におそいくらい。 夏休み前には親との三者懇談なんてものまであるからなんとか形にしておかないと――。 「もっと気を抜いて考えたらいいんじゃないかな?」 「え?」 「俺だって君に言われるまで将来なんて曖昧で適当な物だったし、バスケにしてもそれなりに楽しめればそれでいいと思ってたよ」 「……」 でもそれじゃ勿体ないから、それに誰よりも彼のバスケを見ていたいと願ったのは自分。 そんなわがままで彼はアメリカに行ってしまった。でも、 「それは先輩に才能があるからで……」 行きたいと思って行けるものでも、やりたいと思って続けられるものでもない。 そんな彼と自分は比較のしようもないというのに――。 「大学でゆっくり探すのもいいよ。焦る必要なんてないんだから」 「……はい」 分かってる。分かっていても、焦る気持ちは止めようが無くて、 「はぁ……」 通話の切れたスマホを握りしめて美穂は溜め息をついた。
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