2212人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「ってか、引退しないんですか? 受験、諦めたとか?」
「はい? ――って、なんでそんなことっ」
彼女に言われないといけないのか。
だけどそう言い返そうとする美穂に彼女は気になけることなく、
「凌が心配してましたよ。英語が苦手なんですって?」
「――え?」
「英語なんて馬鹿でも出来る言語なのに」
クスクス笑う彼女。なんで英語が苦手なんてことまで――。
「そういえば凌、帰ってくるんですよ。知ってました?」
知ってる。誰よりもその日を待っているのだから。
だけど驚きに声が出なくて……。
「迎えに行こうかなぁ。そしたら『ただいま』ってまたキスしてくれるかも」
「――っ!?」
「そのときは邪魔しないでくださいね」
ただ、彼女がコートに向かう背中を見つめることしか出来なかった。
ずっと泉の言葉が頭の中を駆け巡る。
先輩、彼女とキス
したんですか――?
最初のコメントを投稿しよう!