1、バカップルの日常

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「はぁ?何だって?聞こえなかったからもう一度言ってくれない?」 「だから、ケンカしたんだって」 「うん。その理由が何だって?」 「だから、」 「名前を呼んでくれなくてケンカになったんだよ」 たぶん自分自身くだらなすぎるケンカの理由に気付いているであろうこの男。すったもんだあった末、やっと凛と付き合うことができた相坂慶太(あいさかけいた)25歳。 「馬鹿じゃないの」 と、盛大な溜め息を吐いたのは兄貴分兼従兄弟。 「早く仲直りしたほうがいいっすよ」 と、おおよそ台詞に似つかわしくない笑いを堪えているのは弟分。 「わかってるよ、そんなこと」 わかっているからこそイライラして口調が荒くなる。 「どうせセックスしてる時はちゃんと言ってくれるのに。とかなんとか言って責めたんじゃないの?」 「……っ、そんな言い方はしてない」 ………………。 「リンがアタフタして泣き出す様子が容易に想像できるわ……」 どうせそれで謝りそびれて、ギクシャクしてんでしょ。 なんて、言われたら、 「なんで見てきた様にわかるんだよぉ!!」 怒りだした慶太に二人は、分かりやす過ぎる。と、そっと息を吐き出した。
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