3人が本棚に入れています
本棚に追加
夏休み
夏休みが始まり、拓哉はほぼ毎日のように遊びに誘ってくる。
その誘いにたまに乗りつつ、僕は家で一日を過ごす事が多かった。
今度、地元で夏祭りがあるらしい。
もともと行く予定などなかったが、偶然近くを通りかかったので少し寄ってみる事にした。
祭りはすごく賑わっていた。
この夏祭りに来たのはいつぶりだろうか。
そんな事を考えていると、ふと、とある人影を見かけた。
彼女だ。
彼女も1人で来ているのだろうか。
話しかけよう、そう思った瞬間
彼女の隣には男が居た。
顔は知らないが、おそらく高峰先輩だろう。
無意識に僕はその場から離れていた。
その頬には涙がつたっていた。
人気のない神社の辺りまで来て立ち止まった。
彼女はあの先輩と付き合っているのだろうか。
夏祭りに来ているということはそういう事だろう。
なぜか涙が溢れて止まらなかった。
気持ちを落ち着かせるために急いで家に戻る。
お風呂に入り、少し気持ちが落ちついた…はず。
先ほどの事を思い出してみる。
ただの幼馴染みってだけだ。
千秋が誰と付き合おうと関係ない。
そう思う事で納得した、そう思うしかなかった。
きっと僕は、この夏を忘れないだろう…。
最初のコメントを投稿しよう!