第2章

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「みーちゃん、もうひとつお皿とってくれる?」 「あ、うん。これくらいのでいい?」 小さめのプレート皿を取り出すと、それじゃないと一番の上の棚のひときわ大きな皿を指さす。    背伸びをしてようやく掴んだ皿を前にして、お母さんは笑顔で言った。 「これに、たくさんご飯をついでちょうだい」 「ご飯?!誰が食べるの?」 「お父さんの分に決まってるじゃない」 もしかして、そんなに…… 嬉しかったの? 大きなお皿にご飯をついでわたすと、私たちの時よりも丁寧にカレーをよそう。 「みーちゃん覚えてないでしょう。みーちゃんが初めてお父さんに剣道を教えてもらった日の夜もカレーだったのよ。家に帰ってからもあなたずっと興奮して、その話をするの。」 はい。と、手渡されたそのお皿には大きなじゃがいもがごろごろ入っている。 「お母さん、これ入れ過ぎじゃない?」 「いいのよ。お父さんはカレーのじゃがいもが好きなんだから。ほら、あげてきて。」 「うん」 なんだかやる前からプチ祝いみたいで笑えるけど、ダメだって言われなくてよかった。    まあ、お母さんがそう言うとも最初から思わなかったけどここまであからさまに喜ぶとも正直思ってなくて。   ようやく口に運んだカレーライスは、私が好きな甘いカレーでおいしかった。
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