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少年はストッパーと鎖で閉ざされた部屋の中に居た。
少年の頭部は穴をあけて金属が貫通し、隙間から密な中身を晒していた。
少年は光らない目を痛むほど見開いて堪えていた。
少年は渇いてもう出ないはずの涙をまだ自分に求めた。
こんなにも答えが見つからない問いは初めてだった。
無論、普段の彼に解けない問いなどほとんどない。
それにこの問題に限って、解けなくとも彼の未来に支障はない。
なのに、この問いがわからない限り、少年は苦しみから解き放たれることがない。
過ちが少年を追い詰めて殺してしまうから。
目の前で失われた人間の様、心臓の痛みを繰り返し反芻する。
生の血は浴び慣れたはずなのに、自らの痛みはずっと切なく、寂しい。
知らなければならない。
虚ろな瞳で、死にかけた自らの身体に鞭打ち、最期の言葉を渇いた喉から絞り出した。
そこには誰もいないのに、縋るように、儚く。
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