∽1∽ 医師と意思の会話

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マチューは親子の後を追い、その光景を目の当たりにした。 何も考えずに駆け出し、子を抱く母親を捕まえようと手を伸ばす。 何かを叫んだか、叫ぼうとした。 言葉として意味を成していなかったが、思いは胸中で形を成していた。 ――――『死なないでくれ』。 終わらせてしまうのは簡単だ。 死後の事など誰にも解りようもないが、きっと自分を包む苦しみや悲しみから解き放たれるだろう。 それは解る。 しかしそれが終わりだなんて、そんな悲しい事はない。 我ながらよくもそんな上等な思考を持ち合わせたものだ。 だからこそ自分は報いを受けた。 ――生きてほしいニンゲンに生きてもらおうとしただけダ。 「……だから、私にそんな資格は……」 ――その辺りはともかく、死んだのにココでグダグダやっている事に対してギモンは? 「……それもそうだ。いや、死んだら誰もがこういう風に君のような者に会うとか、そういう事なのかい?」 ――いや、キミは特別ダ。 マチューは首を傾げた。 と言うより、生きていた頃の姿であれば傾げたと思う。 .
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