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くどいようだが、シニガミは生者にも死者にも干渉できない。
干渉できるのは魂のみ――今のマチューのように死んでいるとも生きているともつかない魂のみだ。
本来なら魂を運び、死へと導くまでだけが仕事である。
ただしごく稀に、ごく僅かなシニガミにのみ行使が許される所業がいくつかある。
が、これも置いておく。
多くを知る必要がない情報もあれば、むしろ知らない方が良い情報もあるのだ。
生者にとっても死者にとっても。
職業に相応しいくらいに知識欲旺盛らしいマチューにも、ほとんど何も語らなかった。
どうせ記憶に残らないように処理する事になっていたりするが、それでも語らないのが無難だ。
シニガミはシニガミらしく、単なる傍観者に徹するべきだという考えにもよる。
それでもこんな時は、この私でさえつい多くを語り過ぎ、慣れ過ぎてしまうのだが。
――これから君は再びマチュー・ロンシャンとして、生き返るコトになる。
「は?」
――だから、君はあの時に母子を庇ってトラックにはねられて即死したワケだが。
「そうだったのか」
やけにあっさりと自分の死に様を聞き入れるなと思ったが、訳ないかと思い直した。
今更ながら生への執着が薄い男である。
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