∽1∽ 医師と意思の会話

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マチューは至極もっともな疑問を投げかけてきた。 「待ってくれ。――トラックにはねられたという事は、私の身体は今どうなっている……?」 ――あまり気にするナ。どうとでも片付けられる問題ダ。 「そんな適当な答えで納得すると思うのかい……」 ――気にするナと言っている。ただ生まれ変わるといっても、ある程度の条件があるんダ。 それはまさしく、生への執着。 魂だけになってもなお、思いは誰にも存在する。 私の目から見て、マチューのそれは思ったよりずっと薄かった。 味わった運命は思いがけないものだったろうにと、不思議に思わなくもなかった。 無論それにも彼なりの理由があった。 「……私にそんな資格はない。もう言ったが」 ――ああ、もう聞いた。 輝かしい功績。 彼は多くの命を奪った殺し屋かも知れないが、同時に多くの命を救った医者でもある。 そのどちらも同じ彼である、という事が彼にとって重大な問題なのだろうが。 .
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