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思い出すのに時間がかかり過ぎやしなかったかと思ったが、それは私の感覚に当てはめればの話かと思い直した。
さて、その質問に答える事は容易だ。
しかしここは余す事無く、目的のために有効活用させてもらう事にする。
――自分の目で確かめれば良いダロウ。
「…………」
それなら話は早い。
答えは自身でとうに出しているのにも関わらず、マチューはなおも逡巡した。
こうまでするのは流石にやり過ぎだろうか?
いや、それもまた今更な話ではある。
余計であるはずの時間も労力も惜しまず、『ここ』にいるのだ。
ここまでして何の結果も生み出さない訳にも行かない。
――マチュー、何も恐れる事は無いはずダ。1度生きる事を放棄シタ。
「……確かにそうだが」
――早い話がもう1度チャンスをやると言っている。グズグズするナ。
「グズグズしたくもなるだろう?……戻って何になる?あの親子が無事だったとしても、私に何が出来ると言うんだ?」
それは私の知った事ではない、と返そうとしてやめた。
ただ、人間が生きる事を続ける限り、何であれ問題は永遠に生じ続ける。
ならばそいつと真正面から取り合い、片を付けるべきだ。
それが生きた証明になる。
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