∽1∽ 医師と意思の会話

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思い出すのに時間がかかり過ぎやしなかったかと思ったが、それは私の感覚に当てはめればの話かと思い直した。 さて、その質問に答える事は容易だ。 しかしここは余す事無く、目的のために有効活用させてもらう事にする。 ――自分の目で確かめれば良いダロウ。 「…………」 それなら話は早い。 答えは自身でとうに出しているのにも関わらず、マチューはなおも逡巡した。 こうまでするのは流石にやり過ぎだろうか? いや、それもまた今更な話ではある。 余計であるはずの時間も労力も惜しまず、『ここ』にいるのだ。 ここまでして何の結果も生み出さない訳にも行かない。 ――マチュー、何も恐れる事は無いはずダ。1度生きる事を放棄シタ。 「……確かにそうだが」 ――早い話がもう1度チャンスをやると言っている。グズグズするナ。 「グズグズしたくもなるだろう?……戻って何になる?あの親子が無事だったとしても、私に何が出来ると言うんだ?」 それは私の知った事ではない、と返そうとしてやめた。 ただ、人間が生きる事を続ける限り、何であれ問題は永遠に生じ続ける。 ならばそいつと真正面から取り合い、片を付けるべきだ。 それが生きた証明になる。 .
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