∽1∽ 医師と意思の会話

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どれくらいの間そうしていたか、ふと扉を叩く音がした。 いつかのように、思わず肩を飛び上がらせた。 ――いつの事だろう。 扉が開き、部屋に入って来たのは良く知った顔だった。 マチューが勤務する病院長、クレイグ。 若くして病院を立ち上げ、たった今まで患者達を、自分達医師を、病院を牽引してきた立派な医者である。 視界に入った途端に目が合う。 いつものクレイグと何ら変わらない、穏やかで温和な目だ。 ただしそうと言って安心出来る訳ではない。 ――安心出来なければいけないのか? 懐かしいような悪寒が背中に走った。 ただし酷く優しく静かで、その感触は全く懐かしいものではない。 それは骨の髄までに身の危険を知らせる信号で、大抵その信号は正確だった。 無論、今でもそうであるという確証はないが。 悪寒を努めて無視し、もっと良くクレイグの目を見返す。 確証を得たところで逃げられはしない、それも解っている。 解っているのに、そうせずにはいられない。 恐らく、良く思い知るためだ。 ――報いを受ける日が来たという事を。 .
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