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私は急いで目を逸らす。
「ねぇ、目、逸らさないで俺の事ちゃんと見て。」
「えっ、あっ、」
「いいから、お願い。」
私は恐る恐る体を勇斗くんに向ける。
何秒か間が開く。
「コクってあげよっか?」
私はその言葉に凍りつく。
体に熱が一気に伝わる。
「えっ、あの、いいです…」
言ってしまった。
聞くだけ聞いてみれば良かったのになんか怖くなってしまった。
「そっか…」
勇斗くんの低い声が耳に残る。
「もう、私、帰るね…ごめん。」
私、なにしてんだろう。
いいよ!聞いてあげるって言えば言葉の続きを聞けたのに…
でも、どうしたらいいか分からなかった。
ごめん、弱虫過ぎて本当にごめん。
好きな人なのにね…。
ごめん。
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