2の人格

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「此処は何処だろう…」 湿気を含んだ…石畳の床…彼は勢い余り禁断の塔にたどり着くと、恐怖を振り払い扉の鎖や腐り掛けた木の番を石で叩き潰して隙間から中へと侵入した。 「悪魔何てそんなモノは存在しない。兄さんは僕が…恐がりなのを利用して、近づけさせない為にはったりを言ったんだ」 灯りもない塔の中は、長年人の手が加わらない…埃と蜘蛛の巣と黴臭い据えた臭いを辺りに充満させていました。 昼間とはいえいえ…灯り取りの窓は、螺旋状に伸びた階段の数段毎にしか設けられていない。 彼が入った入り口は南側で、北側にもそっくり同じ入り口を設けて螺旋階段が交わらないように、クネクネと交差した造りに成っている。 交わらないからお互いの足音はするが、姿を確認できない。…彼の兄は良く父親の書斎代わりのこの塔を遊び場所代わりにしていたのである。 弟のカイルは昔から恐がりで…兄のように暗い場所が苦手だった。
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