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不思議と何の抵抗もなく扉は開きました。
ピクッとカイルは緊張しながら、ゆっくりと奥に向かって扉を押すと中は埃だらけの調度品やらテーブル、古い本棚、カーテンも色褪せて長い歳月を無駄に過ぎたような形で朽ちる寸前の原型を留めていました。
「うっ…黴臭い…此処は書斎?」
松明を前方に突き出すように中へ侵入し、辺りを照らしました。
広さはそれ程感じられない。
何もかも主を失ってから、時計の針を止めた状態で制止していた。
「これは…パパの写真立てだこの隣に写ってるのは誰だろう?」
指でフレームの硝子を擦って見やすく松明の明かりを近づけると、若い男の人と父親が仲良く肩を並べて写っている。
「若い頃の写真だ…友人かな?」
夢中になってる内に、先ほどの話し声の行方の事など忘れたかのように…その時角の方で微かに音がした。
「誰だ!」
危うく写真立てを落としそうになり…声のした方へ明かりを向けた。
一瞬黒い小さな影が横切った。
足が竦み肩が小刻みに震えた。
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