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しかし正統派な王子ではない。
この学園に置いて、『ふしだら』としても有名な一年生の北山瞬。
だけど胸に手を当て優雅に微笑むその姿は、上流階級の人間そのもので。
気品に満ち溢れつつも、堂々とした雰囲気は二つも年下だということを一瞬忘れさせた。
や、やだ。ドキドキと鼓動がうるさい。
「三島由紀夫の春の雪を……」
動揺を隠しながらニコリと微笑んでみせると、
「なるほど、それは美しくも愚かで、でも愛しい話ですね」
「……そうですわね」
美しくも愚かで、でも愛しい。
春の雪はまさにそうなのかもしれない。
嫌いじゃない感想だわ。
そう思い、小さく笑みを浮かべた。
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