第5話 作戦開始!

54/98
前へ
/393ページ
次へ
撫子賞の最終審査でどんなことが行われたか知りたい人間は山ほどいて、時に遠回しに聞かれて来ることも少なくない。 そんな無遠慮な輩を心から軽蔑してきた。 基本的に審査方法は毎年変わるので話しても構わないのかもしれないし、口外するなという規則はないけれど、好ましくないと思われている。 また、苦労して栄冠を勝ち取った歴代の撫子賞受賞者や最終選考に残った候補者は安易に情報を他人に漏らしたくはないと心から思っていた。 そんなことはこの学園の誰しもが分かっていることで、それでも審査の方法を聞いて来るのは失礼以外の何物でもなかった。 「……そのようなことを私が話すと思いますか?」 微笑みながらも少し厳しいような口調でそう告げると、瞬は「ええ」と悪びれもせずに子供のような笑みを浮かべた。
/393ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5708人が本棚に入れています
本棚に追加