17人が本棚に入れています
本棚に追加
僕の有無など言おうとさせない、手を掴む様。
か細く白い肌に掴まれている僕の手も白い。
ちょっと、驚いた。
僕の手、こんなんだったんだ。
「行くよっ」
女は元気よく走り出す。釣られて僕も走り出した。
「うわっ」
人間に掴まれている。あり得ない。僕は妖狐なのに。
この女は勘づいているのだろうか。
女は夢中に走り続け、話すことを止めた。はぁ、と息が切れる声しか聞こえない。
その代わり、風が切るのを肌で感じていた。
…不安はある。疑心もある。なのに、この手を払い除けることをしない。いや、出来ない。
僕は人間と友達になれるのではないかと、期待をしていたからだ。
期待が期待として大きく膨れ、望んでしまった。
例え、僕が妖狐だとしても、受け入れてくれるのではないかと。
心の片隅では違うと思っていても。
最初のコメントを投稿しよう!