17人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
何と可愛らしいのだろう。姿は一丁前に麗しい大人の女なのに…
クスリと笑いを浮かべ、空いている片方の手を女の頭へと撫で使った。
「ありがとう、桜」
桜は照れながら満面の笑みを立てるもんだから、僕の不安は何処(イズコ)へと飛んでいった。
暫く、沈黙が続いた。彼女は歩きながら上を見たり、僕を見たりと変な動きをする。
そんな姿が愛らしくて見えて、こんな女にはたくさんの殿方が見初めるに違いない、と思った。
「あ、そうだ。御影(ミカゲ)って言う名前はどうだろ?」
「御影…?」
「そう、御影」
僕は知り合ったばかりの彼女から名前を付けて貰った。
御影という、どんな意図で付けたのか不明な名前だが。
「良い、響きでしょ?」
それでも良いと思った。
「うん、良い響きだね」
最初のコメントを投稿しよう!