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「ね、一人で寂しくないの?」
僕の目の前に、こんな時刻にいない筈の人間が。
それも、女。
今の時代、あやかしが云々で逢魔が刻になると人間は出てこない。
人間がいる所と遮断されている、こんな森の外れなんて、持っての外だ。
口を開こうか迷った。
今の僕は人間として見られているのだから、話しても問題はない。
だが、月が雲に隠れたら僕は元の姿、妖狐に戻る。
人間に見られてしまう。怯えられ、拒絶されて逃げてしまうんだ。
この女も、きっと。
「ほら、怯えないでよ」
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