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今から行けば夜までには着くな。
「有り難う御座います。」
「では、着いてきてください。」
刀を持ち立ち上がり、
玄関に降りながら草履を履く。
先へ進む善蔵さんに着いていき、
馬小屋へ行く。
そこにいた小姓に善蔵さん何かを話すと、
小姓は一頭の馬を手綱を引いてつれてきた。
「どうぞ。」
そう言うとその人は、
手綱を僕に渡してくれた。
「では、善蔵さん。僕はこれにて失礼します。」
「あの!!なにとぞお願いいたします。」
手綱を引き去ろうとする僕に、
善蔵さんは深くお辞儀をした。
「善蔵さん、依頼は必ず成功させますのでご安心ください。」
そんな言葉を残し、伊藤屋を後にする。
晴天の空のもと、馬を連れある所へ向かう。
往来する人々を見ていると、
娘を想う善蔵さんの姿を
見たときの気持ちを思い出す。
親とはあんなに子を想うものなのか…
今は嫉妬や羨望が混在した様な気持ちだ。
気の迷いが死を招く。
そんな言葉が脳裏に過ぎり、
この事を考えても無駄だと、考えに蓋をした。
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