契り交わす時(前編)

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暗い暗い夜の闇。 月明かりだけが辺りを照らしている。 目の前にある洞窟の中は水の滴る音がこだまし、 入り口では松明が煌々と燃えている。 肌に当たる夜風は生暖かく、 不快な気配が漂っていた。 殺気の様な不快な気配が… 突然夜の闇から月明かりの下に 姿を現したのは、薄ら笑いを浮かべた人の群。 ざっと数えて、12人ぐらいはいる。 皆、その手には粗末な武器を握っていた。 「おい、兄ちゃんこんな所で何してんだ? まさか、一人で山賊のねぐらに来ました ってわけじゃないよな? まぁ、理由がどうであれ、 死にたくないなら身包み置いて帰んな。」 群の先頭にいた巨漢がそう言うと、 男達が僕の周りを囲んだ。 不気味な笑い声が微かに聞こえる。 僕はゆっくりと腰の刀に手を伸ばす。 「俺達と闘る(やる)ってか?面白れぇぜ。 この数相手にいつまで生きてられるか見せてみな!!」 男達は一斉に武器を構え出す。 「宵玄(よいとら)頼むよ。」 刀を鞘から引き抜くと、 僕の意識は心の奥へ閉じ込められた。 「あぁ任せとけ。」 今日はこいつらが獲物か。
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