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暗い暗い夜の闇。
月明かりだけが辺りを照らしている。
目の前にある洞窟の中は水の滴る音がこだまし、
入り口では松明が煌々と燃えている。
肌に当たる夜風は生暖かく、
不快な気配が漂っていた。
殺気の様な不快な気配が…
突然夜の闇から月明かりの下に
姿を現したのは、薄ら笑いを浮かべた人の群。
ざっと数えて、12人ぐらいはいる。
皆、その手には粗末な武器を握っていた。
「おい、兄ちゃんこんな所で何してんだ?
まさか、一人で山賊のねぐらに来ました
ってわけじゃないよな?
まぁ、理由がどうであれ、
死にたくないなら身包み置いて帰んな。」
群の先頭にいた巨漢がそう言うと、
男達が僕の周りを囲んだ。
不気味な笑い声が微かに聞こえる。
僕はゆっくりと腰の刀に手を伸ばす。
「俺達と闘る(やる)ってか?面白れぇぜ。
この数相手にいつまで生きてられるか見せてみな!!」
男達は一斉に武器を構え出す。
「宵玄(よいとら)頼むよ。」
刀を鞘から引き抜くと、
僕の意識は心の奥へ閉じ込められた。
「あぁ任せとけ。」
今日はこいつらが獲物か。
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