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「お前の名は?死ぬ前に聞きたい。」
刀の刃先を奴に向け、訪ねる。
「俺の名は厳太(ごんた)だ。
んでもって、死ぬのてめぇだ!!」
厳太はそう叫び、片方の斧を投げた。
斧は刃の重みで勢いよく回りながら風を切り、
俺に迫ってくる。
ギリギリまで引きつけてから避け、
厳太に向かって再び走り出す。
「やっぱり、てめぇは甘いな。」
厳太の顔を見ると、
その顔には不気味な笑いが浮かんでいた。
風を切る音は途絶えておらず、
徐々に大きくなり、
ふいに嫌な寒気が全身を走る。
後ろを振り返ると避けたはずの
斧が再び迫ってきていた。
避けることが出来ない!!
「くっ!!」
足を止め、両手で力を込めて刀を振るう。
金属のぶつかる甲高い音が辺りに響き、
両手に重い衝撃が伝わり、痺れが走る。
「死ねっ!!」
月明かりを遮る黒い影が、
俺の影を飲み込み地面を黒く染める。
とっさに前方へ飛び転がると、
重い音と共に地面を伝わる振動を感じた。
体勢を立て直し後ろを見ると、
奴が斧を地面から抜いていた。
「へっへっへっ、よく避けたな。」
楽しいな。最近の依頼の中で
こんな戦いは久しぶりだ。
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