契り交わす時(前編)

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俺は立ち上がり、 息を深く吸って吐く。 刀を両手で握り、左斜め下に構え、 目を閉じて全神経を集中する。 「目なんか閉じたら殺しやすくなるだけだぞ!!」 重い足音が狭い間隔で 近づいてくるのを感じる。 微かな風、人の臭い、生暖かい息。 ここだ!! 目を見開き、 左足に体重を乗せ踏みだすと同時に、 刀を右斜め上へ振り抜く。 骨を絶った感触が手に残り、 傷口から吹き出す血を全身に浴びた。 「これで終わったぞ暁玄(あけとら)。」 斧を上段に振りかぶったままの姿で 微動だにしない巨体の横を通りながら、 刀についた血を払い鞘に納める。 刀を鞘に納めた音が鳴ると、 巨体の上部はずれ落ちた。 「お頭がやられたぞ!! こんな奴にかなうわけねぇ。野郎共逃げるぞ!!」 群れていた男達は四散し、 闇の中へ消えていった。 「ありがとう、宵玄」 はやく探さないと… 僕は入り口に刺してあった松明の一つを手に取り、 洞窟の黒い世界に入っていった。
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