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俺は立ち上がり、
息を深く吸って吐く。
刀を両手で握り、左斜め下に構え、
目を閉じて全神経を集中する。
「目なんか閉じたら殺しやすくなるだけだぞ!!」
重い足音が狭い間隔で
近づいてくるのを感じる。
微かな風、人の臭い、生暖かい息。
ここだ!!
目を見開き、
左足に体重を乗せ踏みだすと同時に、
刀を右斜め上へ振り抜く。
骨を絶った感触が手に残り、
傷口から吹き出す血を全身に浴びた。
「これで終わったぞ暁玄(あけとら)。」
斧を上段に振りかぶったままの姿で
微動だにしない巨体の横を通りながら、
刀についた血を払い鞘に納める。
刀を鞘に納めた音が鳴ると、
巨体の上部はずれ落ちた。
「お頭がやられたぞ!!
こんな奴にかなうわけねぇ。野郎共逃げるぞ!!」
群れていた男達は四散し、
闇の中へ消えていった。
「ありがとう、宵玄」
はやく探さないと…
僕は入り口に刺してあった松明の一つを手に取り、
洞窟の黒い世界に入っていった。
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