契り交わす時(前編)

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部屋をさらに汚しながら、 豪快に探し物をする夜吉さんは何か面白い。 「あった!!あったよ!! この中で一番いいやつ。」 「依頼内容はなんですか?」 夜吉さんは散らかした紙を気にも留めず、 一枚の紙を差し出した。 「依頼内容は妖(あやかし)討伐だね。 最近、巷を賑わしてる噂を知ってるかい? その妖、人の如く小太刀を扱い、 斬るもの全てを灰とかす、ってね。 もし、その妖が相手なら厄介かもねぇ。」 妖…… 生きるもの全てを喰らう邪な化け物。 その姿は獣から人まで様々であり、 共通の特徴は深紅の目を持つことと、 不思議な力を持っているということ。 関ヶ原の戦いが終わり、 家康公による天下安寧を目指す幕府が開いたおり、 人間の前に姿を現し始めた。 この恐ろしき災厄は飢饉の如く広がり、 今ではこの国の至る所にいる。 妖に対し幕府がとった行動は、 江戸の城下町周辺に大河をつくり、 妖討伐組や此処のような依頼処の設立だけであった。 僕は各地を巡る旅をした中で、 荒廃した町や国をいくつも見てきたし、 妖とも戦ってきた。 でも、武器を使う妖なんて、 今まで見たことが無い。
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