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部屋をさらに汚しながら、
豪快に探し物をする夜吉さんは何か面白い。
「あった!!あったよ!!
この中で一番いいやつ。」
「依頼内容はなんですか?」
夜吉さんは散らかした紙を気にも留めず、
一枚の紙を差し出した。
「依頼内容は妖(あやかし)討伐だね。
最近、巷を賑わしてる噂を知ってるかい?
その妖、人の如く小太刀を扱い、
斬るもの全てを灰とかす、ってね。
もし、その妖が相手なら厄介かもねぇ。」
妖……
生きるもの全てを喰らう邪な化け物。
その姿は獣から人まで様々であり、
共通の特徴は深紅の目を持つことと、
不思議な力を持っているということ。
関ヶ原の戦いが終わり、
家康公による天下安寧を目指す幕府が開いたおり、
人間の前に姿を現し始めた。
この恐ろしき災厄は飢饉の如く広がり、
今ではこの国の至る所にいる。
妖に対し幕府がとった行動は、
江戸の城下町周辺に大河をつくり、
妖討伐組や此処のような依頼処の設立だけであった。
僕は各地を巡る旅をした中で、
荒廃した町や国をいくつも見てきたし、
妖とも戦ってきた。
でも、武器を使う妖なんて、
今まで見たことが無い。
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