第十話

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なんやかんや、素直じゃない奴やけど、 すんげぇ気ぃ遣いぃやし、 こじ開けてやりたかった。 それは俺の、自己満足やったんやろうか。 「…ほんなら、迷惑やった、ちゅーんか…」 言葉に出すのも、辛い。 情けない位、覇気を失った声が出た。 「俺が、あいつと一緒に居ったら、楽しそうにしてくれてるって思ったのは、俺だけで…興味本位の同情やとでも、思われとったんか…?」 「…いや、せやなくて」 「お前は知ってたんか?あいつが何考えてるんか」 「ちょー、あんな、聞いて。」 矢継ぎ早に質問だけをぶつける俺を、純平は必死になだめようとする。 さっきまで怒ってたはずなのに、 今は半ば呆れ顔だ。 「あたしが知ってたら、教えたら良かったんか?」 「………」 「それも、ちゃう話やろ?」 「……そう、なんか…?あぁもう判らん」 陽太。 走って何処へ行くんや。 お前、あんだけ俺の前で笑てたのに、 腹の中で何考えてたってゆーんや。 俺が傍に居ると、しんどいんか。 何で大事なことは言われへん。 俺のこと信用できへんのか。 項垂れて、頭の中に様々な疑問が渦巻く。 「…俺は、なんや、陽太に、いらんことしたんか…?」 「当たらずしも、遠からず、ってとこか。」 「なぁもう、教えてくれや!俺謝らなあかんやんか!」 「あのな…よぉぉぉく、もういっぺん、考えてよ。」 人差指を立てた腕が差しだされた。 手首には重たそうな数珠みたいなアクセサリーが何重にも着けられている。 動きとともに、張り詰めた空気の中で、ジャラッと音を立てた。 長い爪は、俺の眉間を指してるに違いない。 「何で、今まで、あの子が、人と…男の人と、距離を取って生きてきたか。」 「……距離…」 「男を愛してまうタチやから、そうならんように、閉じ込めて閉じ込めて、やってるんとちゃうの?」 「………」 「そんな中で、あんたが楽しそうに踏み込んで来てみぃ。」 「………はっ?」 「優しくされてみぃ。大切にされてみぃ。どうなるん。」 「陽太が……」 優しくして、大切にして、 そんな当然な俺の気持ちが、あいつにどう届いていたか? 当然過ぎて考えもしていなかった。 頭を抱えようとして、 自分の掌をふと見つめた。 そうだ、この手は、 陽太の手と重ねたことがあった。
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