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午前中は暫く事務所で内勤、
12時になるちょっと前から外回りに出かける。
これがほぼ毎日お決まりの行動パターン。
時々朝からミーティングだのが入ることもあるが、
今日は特に何もない、平和な週末だ。
パソコンに鬼のように届いているメールを、一先ず件名だけでフォルダ毎に振り分けながら、ちらりと顔を上げてみた。
塚口さんが、自分のチームの人たちと立ったまま話をしている。
やっぱり、昨日見たアレは、別人やったんとちゃうか…
その方が、お互いの為にいいかもしれへん…
溜息を一つ、俺はまたパソコンに目線を落とした。
好きなタイプは?と聞かれ、
本音で話すなら真っ先に名前を上げるのは、男優だ。
だから俺はホンモノだと思う。
自覚はあるが俺はどちらかというと、可愛い系の顔をしている。
はずだ。
だから男ともし付き合うことがあれば、女役なんだろうなと確信に近いものはあるし、
そうしてほしい。
まぁつまりはそういう人種なわけで、
だけどそれは、男だらけのこの職場で曝け出すべきものではない。
それどころか家族も、学生時代の友人たちも、知らない。
なんか、嫌やん
巻き込んじゃうの
最初からそういう目で見ないように、見ないようにと心に決めてから、
特に職場は割り切って過ごしてきたつもりである。
上司は上司、同僚は同僚、それでOK、
それ以上でも以下でもない。
なるべく接触しないでおこうと思っていたから、
飲み会も、事務所全体の、新年会とか歓送迎会とかイベントの時には参加しても、その場のノリで仲良い人間だけでってのにはあまり行っていない。
その分俺はルチルに行って発散していたし。
…まぁ、要するにや、
俺は昨日、結構とんでもないものを見てしまったのかもしれない。
紅く染めた頬、
潤んだ瞳、
汗ばんだ首筋、
乱れた髪、
荒い息、
以上を、今5mくらい先で凛と立ってらっしゃる御方が晒してくださいまして、
それはもう、
そういう視点から見たことが無かったもので、
改めて俺は塚口リーダーを凝視してみたが、
困っちゃう位男前なんですけど。
あーやめてくれーやめてくれー
あかんあかんあかんよー
意識し始めたら、止まらないやつやでこれ
俺がデスクで頭を抱えている間に、いつの間にか塚口さんは営業に出てしまっていた。
あ、今夜、飲むのか。うっわ
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