第九話

9/11
前へ
/115ページ
次へ
互いの裸を曝け出すのも初めてかもしれない。 俺は筋肉質でもないから、どちらかといえば貧相な身体。 塚口さんはジムで余計な肉は削いで、男らしい分厚い身体。 脱ぎ終わって、無言で見つめ合う。 視線は徐々に下に移動して、 おっぱいも無けりゃ、胸板とも呼びたくないぺらぺらの俺の胸部へやって来た。 男やと、大抵本能的におっぱいを求めてる。 きっとあんたも、ほんまはそうなんやろう。 揉みたいんやろう。 埋もれたいんやろう。 「ん~、でも摘まめるからええんちゃう?」 「え」 あっけらかんと塚口さんは言い放つ。 「男も乳首いじったりするやん…あれ?あれ?違うっけ?」 「ちょ、勝手に照れないでください」 「えっ、だって俺だけの偏った情報やったら…嫌やん…!」 「偏って、は、無いと、思いますが、どうでしょーね!?」 あかん、変なテンションになってきている。 服を脱いだ時に、完全に押し倒されていた状態からは少し起き上がっていたので、相手が近い。 されっぱなしも癪なので、 俺から塚口さんにキスを仕掛ける。 まだ舌を絡めたりなんかは、どうすればええのか判らんから、そっと触れあうだけでいい。 肩口に手を添えて、輪郭に、首筋にと、ほんの少し吸うようにして唇を這わせた。 調子乗ってるかな だって、嬉しくて仕方ない。 好きで好きでしょうがないあんたに、触れてもいいなんて 俺が自由に動いている間に、塚口さんの手は胸の突起に辿り着いて、 まず親指で形をなぞる。 初めての感覚で、息をのんだ。 そして今度は摘まみ上げるように、力を込めて触れてくる。 「…っ」 「どうよ」 「こそばい、です」 「嘘つけぇ、悪くは無いやろぉが」 触れられる度に、その箇所が熱く感じる。 火がともるのだ。 ほんの僅かな面積なのに、どうも意識がそっちへやられる。 同時に、もう一方の手は再び俺の脚の間に差し込まれた。 休むことなくいきり立ったままのそこは、正直限界が近い。 「ん、あ、ぅっ」 「ん?ほら、俺のも、やってくれるんやろ?」 「あ、はい、そうやった…」 余裕そうにあんたはずっと笑顔や、憎たらしい。 でも、そんなに潤んだ目も、 熱い息も、 見たこと無くて(酒抜きで)、 包み込むように握って、先端に向かって強めに扱く。 瞬間、塚口さんが目をぎゅっと瞑って快楽に耐えようとした。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1150人が本棚に入れています
本棚に追加