アイデンティティ

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「あんた」 いきなり話しかけられた。 「なんでいつもそんな格好なの?」 オレは、慌てて自分の体を見る。普通のワイシャツ。普通のネクタイ。なんの変わりもない、制服が見えた。 「そうじゃなくて、頭」 「ああ、この帽子のことか」 「ニット帽被ってて、なんか得あるの?冬ならまだしも、夏でも被ってるじゃない」 「えーっと……ほら、あれだ。アイデンティティってやつ。カッコいいだろ?」 「別に」 オレは、苦笑した。
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