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悶々としたまま風呂から上がった可哀想な曽我
それにしても隆弘は勝手な奴だ
「いい湯だったなぁ」
「はいそうですね」
「適当に流すなって。ほらお茶でも飲め」
自分の家じゃないのに何処に何があるかわかっている隆弘
ドンッ!!
突然ドアを殴るような音が部屋中響いた
「……えっ」
ドンドンドンドンドン!!
ま、まさか……
「来やがった」
「ちょっ……け、警察を呼びましょう!」
テンパる曽我に何故か冷静な隆弘
「風呂場での声でも聞きつけやがったか。曽我、鍵は掛けてんだろ?」
「勿論!!」
「なら大丈夫だ。それにこれだけ強くドアを叩いてたら音が響いて近所の住人も不審に思って様子を見に来るだろ。このアパート大家も居るんだろ?」
「取り敢えず警察……」
すると隆弘の言う通り暫くすると音が鳴り止んだ
「……逃げたか」
「警察っ……」
「警察が来た所でもう逃げてるって」
曽我から携帯を取り上げた
「貴方困ってるんでしょ!?少しは警察に頼ったらどうなんです!!」
「あいつらは宛にならねーから嫌いなんだよ」
「馬鹿ですか貴方は!」
「お前にだけは言われたくねぇ」
警察は……嫌い
「昔な、俺んちの庭で飼ってたペットがいたんだけど……近所の奴に殺されたんだよ」
突然ポツリと語り出した隆弘
「証拠も無いしろくに調べないで……全然相手にしてくれなかったんだ」
「……貴方の思い違いでは?」
「思い違いなんかじゃねーよ!」
一瞬悲しい顔をした隆弘。しかし直ぐに表情を変えた
「俺は警察は嫌なんだ。絶対相手にされねぇ。好奇な目で見られておしまいだ」
「……わかりました。警察はもういいです」
流石の曽我も隆弘の表情を見てそれ以上何も言えなかった
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