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車内…… 「憂君の彼氏さんって変わってるよね」 『あはは……そーですね』 運転するユキさんの横顔をチラッと見て俺はまた緊張した 痣は……大分薄くなってるけどまだ少し残ってるな 本当に申し訳ない 『何処行くんですか?』 「彼氏さんに色々言われちゃったしなー……カラオケデートとか考えてたけど個室だから無理になっちゃった」 『本当すいません』 「大丈夫。取り敢えず何か食いに行く?昼飯まだでしょ?何がいい?」 『あ……そうですね!ユキさんが食べたい物で!』 「もしかして緊張してる?」 『え!?』 「嬉しいな。少しぐらいは意識してくれてんのかな」 『あのですね、俺はあくまで一般人なんですよ』 その時、朔夜から着信が…… 「……うわ、真後ろにいるとか」 『すいません』 「憂君の彼氏さん本当凄いね」 バックミラーで車の後ろを見てみると鬼の顔をした朔夜がユキさんの車の後ろにピタッとくっついて来ていた 「これじゃデートって感じしないな……」 『あはは……』 「憂君、もしかしてGPSつけられてる?」 『え!?あ……はい。まぁ……』 「やっぱり?」 ふぅっと息を吐いた後ユキさんはまたバックミラーを見た 「……GPSつけられてんなら撒いたって直ぐ見つかるよな」 『え?』 「憂君、ちょっとスピーカーにして彼氏さんに電話してくれない?」 〈何の用だ〉 「そんなに近くにいられたら2人で出掛けてる気がしませんよ」 〈だから何?って言うか車内って1メートル以内だよね。俺が出した条件守れてないんだけど〉 「貴方こそ……デートは2人でするものですよね?そんな近くまで来て着いて来られたらデートにならないんですが?」 〈デートじゃなくてお出掛けね!デートって言うのは思い合ってる者同士がするものだから。憂はお前の事嫌ってるからね〉 スピーカーだから朔夜が言ってる事俺にも全部聞こえている おいおいおい、嫌ってるとか変な嘘をつくんじゃねぇ 気まずいだろが 俺はそんな事一言も言ってねーよ 「そうですか……なら仕方ありませんね。分かりました、貴方がそうするなら俺にも考えがあります」 〈何?〉 「貴方が守らないなら俺も守りません」 『え?』 〈は?〉 ユキさんがそう言った瞬間、車のスピードが一気に加速した .
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