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『ちょっ!ユキさん!!』 「ごめんね。ちょっと我慢して」 細い道に入り右に曲がったり左に曲がったりを繰り返した そして遂に朔夜の車が見えなくなり…… 「よし、ここで降りよう。憂君ごめん、体調はどう?大丈夫?」 『……はい、大丈夫です』 何処かのビルのパーキングに車を停め降りた俺達 ここは……? 「このビルってさ、カラオケだったり飲食店だったり結構色んな店が入ってんだよね」 『そーなんですか?』 「うん。だからGPSで場所は確認出来てもどの店にいるかは把握出来ないはず……取り敢えず先に飯食いに行こっか」 エレベーターに乗り、3階へ…… するとそこにはユキさんが言った通り飲食店が幾つかあった 『あ、朔夜から電話が……』 「出ても出なくてもどっちでもいいよ。けど居場所は教えないでよ?」 『でも……』 「もし教えたら憂君にキスするから」 『え!?』 鳴り止まぬ鬼電…… 取り敢えず早く出なきゃ朔夜は何をするか分からない 〈何処だ!!!〉 電話に出てからの第一声 『お、俺は大丈夫だ!心配すんなっ』 〈何処だ!?何処にいる!?〉 ダメだ 全然聞いてねぇ 『因みに朔夜は何処?』 〈この辺のビルの中だよね!?どのビル!?これか!?それともあれか!?〉 どうやらビルの外で迷っているらしい 『俺もここが何処なのか分かんねーんだよ』 〈何!?〉 「憂君ちょっと貸して」 ユキさんに携帯をスッと持って行かれた 「さて憂君は何処でしょう?頑張って捜して下さいね」 〈殺す!〉 「怖い事言わないで下さいよ。夜にはちゃんと帰しますから」 〈殺す!!〉 「ははは……」 ユキさんから携帯を受け取り深い溜息を吐いた 『あの、ユキさん……』 「困らせてるのは分かってるよ。ごめん……けど最初で最後だからどうしても邪魔されたくないんだ」 また最初で最後って言葉…… 『ユキさんってズルいですよね』 「よく言われる。ごめんね?」 苦笑いするユキさんに、俺も苦笑いするしかなかった .
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