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昼食に選んだ店は洋食屋だった ランチメニューとか久々過ぎて…… 「憂君ソース付いてる」 『え?……ん!』 口元を親指で拭われた 「居酒屋で会った時もタレか何か付けてたよな」 『す、すいません食べ方下手くそで』 「手が掛かる所もいいよね。あの時は店長さんに威嚇されちゃったからさ」 !! ゆ、ユキさんが指に付いたソースを舐めた それを見た瞬間顔がカーッと熱くなった 「かーわいー」 『……………………』 「次は何処行きたい?やっぱカラオケデートする?久しぶりに憂君の歌聞きたいしな〜」 食い終わり、店を出る前に次の行き先を決める事に 『や、個室はちょっと……それに俺の歌声なんかユキさんに比べたらクソですよ。また俺を殺すつもりですか?』 「何言ってんのー?」 次の行き先よりも俺は朔夜の事が気になって仕方なかった 今何処にいるんだろ…… 「カラオケは嫌?んじゃあ場所移動して映画でも見に行く?」 『映画……』 最低でも2時間は時間が潰せる 他にも人がいるし座って見てるだけだし…… うん、それならまだいいかも 「ちょっと待ってね。今から見れる映画何か調べてみるから」 『はい、お願いします。あ……すいません、俺ちょっとトイレ行って来ます』 「分かった」 席を立ち、俺は直ぐにトイレへ…… そこで朔夜に連絡を入れた 電話じゃなくて短い文章…… 【大丈夫だから心配するな。個室には絶対行かない】 ってね 電話したらしたでまた騒がしくなるし何も連絡しねーよりマシだろ 送って直ぐに鬼電が掛かってくるかと思ってたが意外にもそれは無かった きっと連絡にも気付かず今も俺の事を探し回ってんだろな…… ここで急に罪悪感に駆られた 俺、一体何やってんだろ 彼氏いんのに他の人とデートするとか…… 普通に考えて有り得ねー事だしいくら助けられて借りがあるからってやっぱダメだよなこんなの けど、今更後悔したってもう遅い 映画だけ見て直ぐに帰して貰おう…… それから俺達は店を出て再び車に乗り、映画館へ 朔夜からの着信は……ない 「俺映画館とかマジで久しぶりなんだけど」 『そうなんですか?』 「うん。デビュー前に当時付き合ってた子と行ったっきり」 『へぇ……彼女ですか?』 「まぁね」 そりゃそーか こんな格好良い人なんだから昔からきっと超モテまくってたし絶対女に困る事は無かっただろう それなのに何故俺なんだ 時間ギリギリにチケットを買ったからか後ろの方の席しか空いてなくて…… 上映する映画は少し前に話題になっていたアクション映画だった 今だにこんなに沢山の人が見に来てるなんてちょっと驚いた。って事はそれなりに面白いのかな 照明が消え館内は真っ暗に…… 『…………!』 その時、隣に座ってるユキさんに手をぎゅっと握られた うわ……マジか .
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