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結局始まりから終わりまでずーっと手を握られていた 気まずいったらありゃしねぇ ってか手汗がやばい 「あーあ、もう映画終わっちゃった。結構面白かったな」 『……そうですね』 ぶっちゃけ手に意識がいっちゃって全然映画に集中出来なかった 熱い……熱過ぎるぞ俺の顔面 「憂君大丈夫?」 『え!?』 急に顔を覗き込まれマジでびっくりした 「顔赤いな……熱い?」 『や、大丈夫です。お気になさらず……』 映画を見る為にサングラスを外していたユキさん その時、ヒソヒソと話す誰かの会話が耳に入って来た ”あれってやっぱりMメンバーの人じゃない?” 「…………やばいな、見つかったかも」 その会話はユキさんにも聞こえてたみたいで 「出ようか」 『はい。…………え?』 立ち上がったが手は繋がれたまま 『あの……』 「憂君早く」 『は、はい!』 急かされ手を繋いだまま俺達は映画館を出た 「マズいな、さっきの子達が着いて来てる」 『マジっすか……』 流石芸能人、こんな事本当にあるんだな って呑気な事考えてる場合じゃなくて 「ごめんね、折角のデートなのに。油断してた」 『いえっ!ってかこれ見られる方がマズいんじゃ……』 俺は繋がれてる方の手をもう一つの手で指差した 「え?ああ……っつーか俺もうMメンバーじゃないし。大丈夫だよ」 『や!あのですね!?ってか俺そろそろ……』 「ほらほらこっち来て」 『ええっ!』 結局手を繋がれたまま次は徒歩で右に行ったり左に曲がったり…… 遂に人通りの少ない所まで来た 「今日は何だか逃げてばっかの1日だな」 『そうですね……』 「あ……やばい!」 『え?ッッ!』 近くにあった自販機の影にグイッと押し込まれ俺を隠すようにユキさんが…… ち、近過ぎる!!ってか密着してんぞこれッッ 「……行ったね」 『そ、そうなんですか?』 「このままぎゅっとしていい?」 『え?』 顔を上げるとユキさんと目が合った 顔が近い…… 『…………ごめんなさい』 俺は彼の胸を押した 「うん。断られるのは分かってた」 『ユキさんには本当に感謝しています。俺の事何度も助けてくれて……だけどこれは違う』 「……うん、分かってる」 『だから………………っ!』 その時、ユキさんにぎゅっと抱き締められたんだ 「好きだよ憂君」 .
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