VI

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「憂、ほら口開けてあーん」 『自分で食うからやめろよ』 「じゃあ逆に憂が俺にあーんしてよ!」 『ほらよ』 「ちょっと!」 食い終わった串カツの竹串を朔夜の口に向けると奴は怒った 「いらないよそんなゴミ!ちゃんと食べれるやつにしてよ!しかもそれ刺さるやつだし!」 『んじゃあこれ』 「レモン……口がすっぱくなるよ」 『よだれがめっちゃ出るな』 「分かった。じゃあその唾液を全部憂の口に入れて舌で掻き回して……」 『キモッッ!!!!オエッ!!』 「お、オエは流石に傷付くな……」 『てめぇーがキモい事言うからだろが!』 「あ!こら憂!!」 ビールをガバッと飲むと朔夜がまた怒った 俺達からすると至って普通のやり取りなんだけど周りから見ればめっちゃイチャイチャしてるように見えるであろう…… 「まぁ今日は俺もいる事だし久しぶりに飲んでいいよ。ただし吐かない程度に」 『え、マジで?』 「大丈夫、酔っ払っても俺がちゃんと介抱するから。ちゃーんと家に連れて帰るからね」 朔夜の声が少しだけ大きくなった きっとユキさんに聞こえるように…… ちっせー男だぜ全く けど久々に出たお許し……嬉しい! そして調子乗りまくった俺は…… 『んんっ……朔夜、熱い……』 「じゃあ帰ってから脱がしてあげるよ。全部ね」 『ん……』 見事に酔っ払った 飲んでいいと言った理由が漸く分かった 奴はこれを狙っていたんだ い、意識はあるけどそれが理性なのかどうか全然分からん 酒ってマジ怖え…… 何となく視線を感じ、チラッと見てみるとカウンター席のユキさんとバチッと目が合った 『ユキさん……やっぱめっちゃ格好良いな』 「あっち見るな!俺を見ろ!」 『朔夜?うんうん朔夜も銀髪綺麗だな』 「俺は髪の毛だけ!?」 『っせーな、騒ぐんじゃねーよ』 「はぁ……憂、そろそろ帰ろう。ちょっと飲み過ぎたみたいだね」 『んじゃあユキさんに挨拶してくる』 「行かなくていいよ!!……ちっ!飲ませ過ぎたか」 『全然飲んでねーし!』 「飲んでるよ!」 『俺は酔ってねー!』 「酔ってるよ!ほら今尾澤に水……」 その時…… 「憂君、水貰って来てあげたからこれ飲んで」 「!」 いつの間にか俺達の直ぐ側に来ていたユキさん 彼の手にはグラスに入った水が…… 「結構だ」 「貴方じゃなくて憂君にです」 「結構だ!ほら、憂行こう」 『ちょっと待って、残ってるの全部飲んでから……』 「ダメだ!!」 『……分かったよ』 「……」 ジョッキをテーブルに置いた時、ユキさんは小声で言った 「可哀想に、そんな事も自由にさせて貰えないのか」 「……は?今何て言った?」 『お、尾澤さん!』 睨み合う2人を見て一気に酔いが醒めた俺は危険を感じ直ぐに尾澤さんを呼んだ .
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