VI

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居酒屋に行った時……再びユキさんと揉めそうになった日から朔夜の様子が何となく変になった 『……あれ?何でこんなに酒があるんだ?』 冷蔵庫を開けると大量に缶ビールが入っていた ノンアルコール……じゃない。本物の酒だ 『飲んでいーの?』 「ああ……うん」 な、なんつー分かりやすさ きっとユキさんに言われたあのトドメの一言が朔夜にグサッと刺さってしまったんだ 『……』 取り敢えずいいと言われたので遠慮無く冷蔵庫から1本取り出しリビングのソファーへ…… それから居酒屋でのドラマ撮影がスタートした 特にこれと言って変わった事はないんだけど、唯一変わった事と言えば尾澤さんの私生活が更にハードモードになった ただでさえ激務な彼なのにこのままじゃマジで体壊しちまう 『なぁ朔夜、尾澤さんマジで大丈夫なのか?』 「今のところは」 『会社での様子はどんな感じ?』 「さぁ……俺在宅だし」 『行けよ!』 マジで! 『取り敢えず……俺仕事行って来る』 「送るよ」 『いやいやそんな暇あったら会社行けっての』 「憂を送るのは俺の仕事だから」 『いいっつーの!』 「分かった。気を付けてね」 いつもならここで言い合いになるのに朔夜はあっさり身を引いた 本当、結構効いてんな…… それから仕事が終わり家に帰ると何故か外行きの服装になっていた朔夜 『どっか行くの?』 「尾澤んとこ……ほら、今日撮影あるみたいだし一応俺も顔出しとこうと思って……」 『へぇ……』 分かり易い……実に分かり易いぞ朔夜 荷物を置き、朔夜の手をぎゅっと握った 『ユキさんに言われた事気にしてんだろ?お前らしくねーな』 「別に気にして無いよ。俺はただ尾澤の様子見に行くだけだし」 『んじゃあ俺も一緒に行こうかな』 「ダッ……う、うん、分かった。憂が行きたいんだったらいいよ……」 今ダメって言おうとしたな 全く…… 『冗談だっての。疲れてるし今日は家でゆっくりしてる』 「そう?……分かった」 取り敢えず尾澤さんの様子見に行くって言ってんだし引き留める理由はねぇ .
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