VI

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それから季節は花粉症大流行の時期へ…… これまでの人生、俺はそんな物とは無関係だと思っていた 思っていたのに…… 『ふ、ふぁっふぁ……ふぁっくしゅんッッ!!!』 は、鼻水が止まらねぇ!! め、目が!目が痒い!! ある日突然外から帰るとくしゃみが止まらなくて死にそうになった 「大丈夫?花粉症?」 『ぶあっくしゅん!!!』 朔夜に向かって盛大にくしゃみをしてしまい俺のよだれが朔夜に飛び散った 『喉が!!喉が痒い!!何だよこれちくしょー!』 鼻と喉の間が痒いのに掻けないこのツラさ……ついでに耳の奥も痒い!! 何だこれは!! 「明日は耳鼻科だね」 『何だよこれマジで!え、花粉症ってこんな急になるもんなの!?』 「まぁ人によってはなるって聞くし……可哀想に、鼻が赤くなってるよ」 『顔面に触るな!!!ちょっとの刺激が……ぶあっくしゅんッッ!!』 飛び散った鼻水が朔夜の服についた そして俺は今日からティッシュとマブダチになった 尾澤さんの居酒屋でのドラマ撮影は順調に進んでいるみたいで…… 深夜まで居た客の誰かがキャストを目撃したようで噂が噂を呼び、芸能人が出入りしていると言う話が広がり居酒屋に沢山の人が訪れるようになったんだ そのせいか、ユキさんが全く居酒屋に来なくなった それと尾澤さんの疲労が限界を迎えていた 『遂に発売すんの!?早くねぇ!?』 「取材も俺が最後だったみたいだし週刊誌だから直ぐに載るって確かあの記者が言ってたような気がするけど……まぁいいや、俺尾澤手伝いに行って来るね」 『お、おー』 激務過ぎて今日会社で尾澤さんが目眩を起こしたらしい…… 「やれやれ、大丈夫大丈夫ばっかり言ってるからだよね。無理しなくていいのに」 『無理させてんのはオメェーだよ』 「こう見えて俺もちゃんと仕事してるよ!明日だって尾澤休みにしたから俺が会社行くし!」 『ふぁっ……ふぁ…………』 「早くティッシュで押さえて!」 『…………あークソまじムカつく……止まりやがった。全然スッキリしねーよ』 「クシャミあるあるだね」 他人事のように言う朔夜にかなりイラッとした 花粉症のツラさは経験した本人にしか分からない…… 『まぁいーや、尾澤さんに宜しく』 「行ってらっしゃいのチューは?」 『顔面に鼻水飛ばす自信あるけどいーか?』 「こうするから大丈夫」 『んげッッ!!……ッッ』 鼻をつままれ無理矢理…… 息が! 『し、死ぬわ!!!ふぁっくしゅんッッ!!』 「あ、クシャミ出たね。良かったねースッキリしたね」 『ぶぁっくしゅんッッ!!』 「うっ!」 2発目のくしゃみで鼻水が朔夜の服に飛び散った 自然と出たカウンター ある意味今の俺は最強だ .
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