VI

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その後仕事に手が付かず帰宅する事になった あの女の虚言に少しでも動揺してしまうなんて俺らしくない 4歳になる女の子 妊娠期間の事を考えると約5年前…… ダメだ、全く記憶にない 女との出会いは確かバーで1人で飲んでいる時だった そこで話しかけられてそう言う流れになって…… よくある様な出会い方 いちいち相手を見つけるのが面倒になっていた俺はそう言う時だけ女と連絡し合うようになり何度か夜を共にした そう言う関係を続けている内に女からの連絡が頻繁に増え、昼間も会いたいだとか今何をしてるだとか面倒な事ばかり言われるようになって…… 次の日も女は会社に来た 尾澤から連絡を受け直ぐに追い出す様に命じた 『……どーした?尾澤さんから電話?』 「ああ、うん。大した連絡じゃないから」 『どーせまた会社サボったんだろ?ったく、あんま尾澤さんの事困らせんなよな〜』 尾澤から連絡を来た時たまたま別室に行っていた憂が苦笑いしながら俺にそう言った 「…………」 例え嘘だとしても、憂には聞かせたくないな 余計な心配はかけたくない 不安にさせたくない 「大丈夫、俺ちゃんとやる事やってるもん」 『あそ。んで最近どーなの?居酒屋の方は?撮影は順調なのか?』 「まぁいい感じに進んではいるみたいだよ。最後の撮影で尾澤がエキストラとして出演するらしいし」 『え!?マジで!?』 すると憂は激しく興奮した 『やべーじゃん!絶対録画するべ!ってか絶対ドラマ見るしッッ!行き慣れた場所がテレビに映るってマジでおもしれーよな!あー早く見てぇ』 「……」 『……あ!いやっ……や!どーせなら朔夜もエキストラとして出演させて欲しかったよな!社長なんだし雑誌にも載ったんだし!んじゃあ俺の楽しみも倍増したのにな〜!』 俺がまた嫉妬すると思ったのか慌てた様子で付け足したように言った 全く、分かり易くて本当に可愛い 「ふふ、でも俺はいいや。出演なんかしたくないし」 『え?何で?』 「何処で誰が見てるかも分からないのにテレビなんかに出たくないよ」 『ああ!?雑誌の取材受けたクセに今更何言ってんだよ訳分かんねーな』 「それは憂を喜ばせたかったから……ほら、雑誌は物として残せるしいつ何処ででも見たい時に見れるでしょ?」 『や、毎日本人見てんのにそれはちょっと……持ち歩くとかキモいし』 「ええっ!憂の為に俺取材受けたのに!憂だけの為に!!!キモいって何さキモいって!!」 『ちょっ!そんな興奮すんなって!』 雑誌に載ってしまったものは今更どうしようもない…… あの女はきっとまた会社に来る 早く何とかしないとな .
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