VI

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そして遊び心を出した俺は激しく後悔した 『…………ああっ!』 「憂の肌凄くツルツルで気持ちいいね。ほら、泡で滑りが良くてこんなに触りやすくて……」 『触っ……うっ……ッッ』 一緒に風呂入ったのはいいが散々弄ばれた マジ糞 俺が出たゲテモノバスボブはリアルなゲンゴロウ人形だった そして朔夜は…… 「ぎ、ぎゃあああああッッ!!!!!」 超リアルな蜘蛛の人形だった 湯船の中でバスボブが沈んでシュワシュワしてるなーって思ってたらプカ〜っと浮かび上がって来たのが蜘蛛だったからそりゃ大騒ぎだの何だの…… けけっ、ざまぁ! 「二度とバスボブなんかしないからな!!」 『罰が当たったんだよ罰が!』 「何の罰!?俺何もしてないよ!」 『俺の入浴タイムを邪魔したからだ!ったく……いたた』 折角風呂入ったのに腰痛が悪化した 完全に朔夜のせいだ 『はぁ、何か腹減ったな……コンビニでも行って来よっかな』 「こんな時間に危ないよ!」 『こんな時間ってまだ21時じゃねーか。高校生ですらまだ出歩いてる時間だろが』 「湯冷めする!」 『しねーよ。んじゃあちょっくらコンビニ行って来るなー』 「俺も行くよ!」 全く、気分転換がてら1人でのんびり行こうと思ったのに仕方ねー奴だな まぁいいか、高級デザートいっぱい買って貰おっと 朔夜と近くのコンビニに行ったけど目的のデザートが全部売り切れだった チッ、久々にフルーツどっさりゼリーでも食おうと思ったのにこんちくしょー 「大丈夫?寒くない?」 『へーき』 まだ若干髪が濡れたままだけどそれが逆に丁度良くて気持ち良かった 『あ!こらッ』 「夜だから大丈夫だよ」 『ったく……ちょっとだけだからな』 「ふふっ」 手を繋ぎながら歩くなんて何となく久々…… 「ちょっと遠回りして帰る?」 『めんどくせーな』 「憂にはロマンと言う物がこれっぽっちもないよね」 『ロマンって何だよ。俺は無駄な体力使うの嫌いなだけだよ』 「もう……」 ダラダラとつまらない会話をしながらマンションを目指していると、突然朔夜が立ち止まった 「……」 『どーした?』 「やっぱり遠回りして帰ろ」 『え?ち、ちょっ……!』 グイッと手を引かれ、来た道を引き返そうとした時後ろから声が…… 「朔夜!」 「チッ……」 『何?』 声がした方に振り向くと、遠くの方から誰かがこっちに向かって走って来たんだ 女……? さっき朔夜って呼んだような…… 『知り合いか?』 「行こう」 見向きもしないで俺の手を掴んだまま歩き出そうとした朔夜 『いやいや、知り合いだろ?今お前の事呼んだじゃん』 「憂早く」 『はー?』 「待って朔夜!」 走って来た女が俺達に追いついた その時、俺は咄嗟に朔夜の手を離したんだ .
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