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あれから朔夜と顔を合わさずに迎えた朝
俺は知らない間に床に寝転がって寝てたみたいで起きた時にはいつものベッドにいた
朔夜は……
「おはよう」
『うん』
いつも通りリビングに居ていつも通りに珈琲を飲みながらTVを見ていた
「大丈夫?風邪引いてない?体調は?」
『普通……』
「なら良かった」
至って普通な朔夜に違和感を感じながら俺はシャワーを浴びにそのまま浴室へと向かった
そして朔夜が出勤する時……
「今日憂も仕事だよね?なるべく早く帰って来るよ」
『あのさ、昨日の事なんだけど……』
そう言うと頭を撫でられた
「大丈夫」
『…………』
その一言で全部押さえ付けられたような気がした
「聞いて下さいよ憂さん!!」
『な、何だよ』
出勤すると直ぐに曽我が俺の所へ突進して来た
最近出勤日が被らなくてあんま会う事無かったからなんか久々だなこいつ……
「前園さんが転勤するんです!!!」
転勤?
『……で?』
「その意味分かります?遠距離恋愛ですよ遠距離恋愛。漢字5文字ですよ?」
『んなもん分かってるわ。で?』
「酷くないですか!?付き合って間も無い恋人を置いて遠くへ行くだなんて……なので昨日交番へ抗議しに行きました」
『マジで?』
「はい。上司と言う馬鹿者に追い返されましたが……俺に相談も無しに異動を承諾するなんてあの人は鬼です」
『…………で?お前はいつここを辞めるんだ?』
「辞めませんよ!」
『え?そーなの?ついて行くんじゃねーの?』
「慣れない地域にゲタを連れて行くなんてそんな酷な事俺には出来ません!知ってますか?ゲタはとても繊細な子なんです。連れて行って万が一ストレスで禿げちゃったら…………ああっ!可哀想!!!」
『ふーん、まぁ頑張れよ』
「人が相談しているのにそんな冷たい態度……貴方の血は何色ですか?本当に信じられない」
『…………』
俺は一体何を相談されたんだろうか
全然集中出来なかった
仕事中ぼーっとし過ぎてまた心配されてしまった
「頭は大丈夫かチビ太?」
『まるで俺の頭が悪いみたいな言い方しないで下さいよ長谷川さん』
「あははっ」
全くこの人は……
途中から一緒に仕事してた長谷川さん
心配してくれてんのか馬鹿にしてるだけなのか
「なぁチビ太、今日飲みに行かね?」
『今日ですか?えっと、今日はちょっと……』
「またさっ君?大丈夫大丈夫、ちゃんと説得するか、さ」
『や、そうじゃなくて……』
今頃朔夜は何してんだろ
今は夜
きっともうとっくにあの女との話し合いも終わってるよな……
「やっぱどっか具合悪い?」
『いえっ!あ…………分かりました。少しだけなら』
帰ってからきっと今日の話をされると思う
朔夜は大丈夫と言った
けど、正直言って俺はまだ戸惑っていたんだ
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