VI

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気分転換の為に出掛けたけど俺の気分は何も全然変わらなかった 朔夜の前じゃ普通に振る舞ってるけど頭の中はどんより曇ってて凄く重苦しくて 「今日仕事?送るよ」 『いや、たまには散歩がてら歩いて行くからいい』 「じゃあ俺も散歩がてら憂を送るよ」 『だからいいって』 次の日出勤だったけど全然やる気が出なかった 言い出したら聞かない朔夜に溜息を吐き、徒歩で行くのを諦め結局車で送って貰う事に…… 「チビ助!飲みに行くぞ!」 『え、今日ですか?』 「当たり前だろ!今日じゃなきゃいつなんだよ!」 この前は長谷川さんだったけど今度は勝哉さんから声が掛かった うわー全く乗り気にならん 『実は長谷川さんと飲みに行ったばっかで……その時飲み過ぎちゃって朔夜に怒られたばっかでして』 「あ!?だから何だ!?言わせとけ!」 『いやいや……』 「ちっ!つまんねー野郎だせ」 いつもしつこく誘う勝哉さんが今日は何故か直ぐに引き下がった きっと尾澤さんに被害が行くのを恐れたからだ 多分 「おー曽我!てめぇ今日暇か?」 「あひゃっ!勝哉さん!」 「飲みに行こうぜ〜」 「飲みに!?も、勿論ですよ!ついでに俺の愚痴聞いて下さいよ!」 「ジョッキにでも愚痴ってろよ」 次に勝哉さんは曽我に声を掛けていた 凄く嬉しそうな曽我…… 成る程、俺じゃなくて誰でも良かったんだな それから仕事が終わり朔夜に連絡……しようと思ったけど、やめた やっぱり何と無く歩きたくなったから徒歩で帰る事にした だけど…… 「お疲れ様」 出て直ぐの所で俺を出待ちしていた朔夜 『来たの?』 「送ったんだから迎えに行くのは当たり前でしょ」 『そうか……』 「連絡が無いって事はもしかして歩いて帰ろうとしてた?」 『んーまぁ……』 「取り敢えず乗って」 『…………』 ふぅっと一息吐き俺は助手席に乗り込んだ 「疲れた?」 『まぁな』 「そっか、お疲れ様だね」 『うん』 「……」 車内の中の続かない会話に息が詰まりそうだ 朔夜は何も悪く無い 俺がそんな雰囲気にしてしまっているのは分かってる 早くマンションに着かないかな……と思いながら窓の外を見ているといつもの道じゃない事に気が付いた 『何処に向かってんだ?』 「久しぶりにドライブでもと思って」 『はぁ……俺さっき疲れてるって言ったよな?』 「言ってない。まぁなって言った」 『……』 「憂、俺に言いたい事があるなら言って。言ってくれないと分からないよ」 『別に何もねーよ』 「ずっと機嫌悪いよね?」 『普通だし』 信号待ちで車が止まった時、朔夜が俺をじっと見つめた 「憂の機嫌が悪い理由ってあの女の事だよね?……俺だって過去に戻れるなら直ぐにやり直したいよ」 『……』 「2週間後には結果が出るらしいから……何も問題無い。絶対に大丈夫だから」 『何の根拠があって絶対って言うんだ?』 「え?」 『……もういい。俺やっぱ歩いて帰る』 「ちょっ……憂!」 ドアを開け、俺は車から降りた .
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