VI

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「私には朔夜が必要なんです。私、彼の子供を生みました」 『……っ』 はっきりとそう言われたが…… 『本当に朔夜の子供ですか?証拠でもあるんですか?DNA鑑定をして貰ってるって聞いてるんですが』 「それは……これから依頼する予定です」 何と女はまだDNA鑑定を依頼して無かったんだ 朔夜は2週間後には結果が出ると言っていた この女、朔夜に嘘を…… それよりも子供自体を生んだのか本当に怪しかった 『今子供は何処にいるんですか?子供の写真はないんですか?』 「あの子は今人に預けてます。写真ならここに」 そう言って携帯の待受画像を見せられた 『……』 確かに子供の画像 とても可愛らしい小さな女の子の画像 けどこれだけじゃ朔夜の子供かどうか分からない 『……すいませんが俺には貴方が嘘を言ってるとしか思えません。子供がいるのは本当かも知れませんが朔夜の子じゃないですよね?DNA鑑定だってまだ……』 「私は朔夜の子供だって信じてる」 信じてる? って事は…… 朔夜以外とも関係があったと言う事だ 馬鹿馬鹿しい こんな女の虚言に俺達は頭を悩ませて苦しんで…… 早くこの事を朔夜に知らせないと 『すいません、話にならないので俺は帰ります。後……俺は朔夜と別れるつもりはねーから』 そう言って席を立った すると女が…… 「責任も取らず慰謝料も養育費も払わず挙句に男と交際してます……なんて世間が聞いたらどう思うでしょうね。会社、倒産しなかったらいいけど。ほら、今ってSNSで呟けば直ぐに広まるから……」 『は?』 動かそうとした足を止め女を見た 『ちょっと待って下さい。何言ってんですか?』 「けどまぁ……会社の評判は間違い無く落ちるでしょうね。居酒屋も……ドラマはお蔵入りになるかしら」 『……脅しですか?』 「ふふっ、これは私と朔夜の問題。貴方は関係ないわ」 『関係あります。ってか朔夜の子供かどうかも分からないのに何訳の分からない事言ってるんですか?』 「貴方が朔夜と別れてくれたら全て収まるの。朔夜を振ってくれれば……付け入る隙が出来れば上手くいくはずなの。だって私達は何度も……少なからず私の事を気に入ってくれていたはずだもの」 『……っ』 確かにそうかも知れない 一度だけじゃなく、何回も体を重ねていたと言う事は…… 朔夜は好き嫌いがはっきりし過ぎている あの朔夜が何度もこの人と…… 「貴方が与えられない幸せを私は朔夜に与えてあげる事が出来るの。家族と言う幸せを……これは私にしか出来ない事よ」 『家族……』 俺は男だ どれだけ望んだって授かる事はない 「朔夜が戻って来てくれたら私達は幸せになれるの……貴方は朔夜から幸せを奪っているの。今は楽しいだけでいいかも知れない。けど先の事を考えて?ずっとこのままで居られると思う?」 『……あんたの目的は朔夜か金どっちだよ』 「あの時は朔夜が戻ってくれないならせめてお金だけでもと思っただけ。けど気が変わった……やっぱり私は朔夜が欲しい」 『だからって子供を使って朔夜を脅すなんて何考えてんだ!』 「大きな声を出さないで。貴方が私達から朔夜を奪うからでしょ」 話の通じない相手に何を言ったって無駄だ 『今日の事、朔夜に言うからな』 財布から札を数枚出しバンッとテーブルに叩き付けた後俺は直ぐに店を出た 『…………』 このまま朔夜の会社に行こうかと思った けど、頭の中はまだごちゃごちゃしてて…… .
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