VI

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結局朔夜の会社には行かなかった 俺なりの配慮 会社には尾澤さんだっているし他の人だっているんだ 何処で誰に聞かれるかも分からない SNS 倒産 ドラマのお蔵入り…… あの女が言っていた事、色んな事が俺の頭の中で飛び交っていた それから夕方、玄関の方から物音がした 「ただいま」 『……おかえり』 まだ気まずくて…… ソファーで横になったまま朔夜の顔も見ずに言った 「昨日は帰らなくてごめんね。そのまま会社に泊まってずっと仕事してたよ」 『……そ』 「体調はどう?大丈夫?」 『……』 俺は立ち上がり、そのまま朔夜に抱き着きに行った 「憂?どうしたの?や、それより俺昨日からシャワーも何もしてないから」 『そんなもん俺もしてねーし』 「……」 強く抱き締め返してくれる朔夜に胸がぎゅっとなった 『……今日朔夜の会社の前まで行ったんだ』 「え、本当?言ってくれたら直ぐに出たのに」 『そしたらあの女に会った』 「あの女……?あの女って……まさか」 『そう。んで色々言われたけどさ、マジでやべーって』 「何を言われた?」  体を離し、目線を合わせ聞かれた 『……DNA鑑定、まだしてねーよあの女』 「は?」 『んで朔夜の子供だって言い切ってたけど……多分他にも男いたっぽいぞ』 俺は今日聞いた話を朔夜に話した 女の嘘、それに別れろと脅された事…… 「……ごめん」 話し終えた時何故か朔夜は謝った 『何が?』 「俺のせいで憂に嫌な思いさせてばかりで……早急に対処する」 DNA鑑定はしていない けど関係があった以上可能性はまだゼロじゃない 本当に白黒はっきりさせておかないと女が言っていた事をされた時やばくなるのはこっちだ 「本当にごめん」 『もういいって。俺もずっと態度悪くて……ごめん』 「憂は悪くない。俺が全部悪い」 『いや…………俺は朔夜を信じるからな』 そう言って触れるだけのキスをした 「憂からしてくれるなんて久しぶり」 『そんな事ねーし』 「嬉しい。もっと」 『いーやーだ』 「それよりも信じるからって……[信じてる]じゃないんだね。疑ってた?」 『当たり前だろ。お前ヤリチンだし』 「ヤ、ヤリチン……ち、違ッ……」 ショックを受ける朔夜の肩をポンポンと叩き溜息を吐いた 俺だってショックを受けたんだからこれぐらいの意地悪言っても罰は当たんねーだろ .
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