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家の中に入ると玄関に見慣れない靴が一足
それを見て溜め息が出てしまった
そう言えば俺は怒ってたんだっけ?
そんな事もう忘れてしまってた
さて憂は反省してるのかな?
期待して中に入ると一番最初に目に入ったのは勿論
「ただいま」
『お、おかえり』
ぎこちない返事が返ってきたけど嬉しい
「起きてたんだ」
『うん』
「隆弘くんは?」
『風呂に入ってる』
「そう」
わざと素っ気なく返事をした
居るような予感はしてたけどね
すると俺の顔色をうかがう憂の視線を感じた
そういう所が本当に可愛い
飼い主の機嫌を伺う犬みたい
そして小声で言うんだ
『怒ってる?』
「それより……」
憂の体を引き寄せ抱き締めた
可愛くて仕方ない
『ちょ!隆弘くんがもうすぐ風呂から出て来る。ってか何か臭い』
「え?」
匂いに敏感な憂は俺の体を嗅ぎ始めた
『香水の匂い……』
「ああ、長谷川くんと遊んでたんだよ」
『長谷川さん?でも女物の香水の匂い』
女物?あいつらか!
確かにキツイ匂いだなと思ったが
憂の眉間にしわが……でも妬いてくれてるんだ
そう思うとつい顔がにやけてしまった
『朔夜のアホ!』
「違うんだ憂」
『じゃあ何でにやけたんだ!?』
「や、それは憂が可愛くて」
『はぁ?』
このやり取りにほっとした
良かった。そこまで怒ってないみたい
そんな時濡れた髪を拭きながら隆弘くんがこちらにやって来た
「ラブラブですね」
『あ』
「スッキリした?」
「はい」
今日隆弘くんは泊まるのか
はぁ、ラブラブしたかったのに
慌てたように憂は俺から離れ、誤魔化すように言った
『何か飲む?』
「ありがとう憂さん、でも今はいいや」
『そ、そう』
チョロチョロ動き回る憂を見てニヤニヤしてしまった
本当、照れ屋さんなんだから
「ねぇ、俺が帰って来ないから心配した?」
『や、別に』
「俺わかってるんだからね。もう、憂ったら」
『はいはい』
隆弘くんの視線も気にしないでイチャイチャしにかかったが見事にスルーされてしまった
やっぱりダメか
『そうだ朔夜!お前も隆弘くんの話聞いてやってくれよ!大変なんだよ!』
「大変って何が?」
すると隆弘くんが慌てて俺達の所へ駆け寄って来た
「俺殺されちゃいますマジで!」
二人の慌て具合を見てただ事じゃないような感じがした
や、憂はくだらない事でも大袈裟にするけど
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