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「取り敢えず、今日の誘い断ってさ、ちょっと付き合えよ」
「ばーか!ヤローと付き合う趣味ねーよ!」
ケラケラ笑いながら長谷川を茶化す俺に長谷川はブチ切れモードだった。
「俺だってねーよ!つか、お前来月...何があるか知ってっか?」
声のトーンを落とす長谷川に今度は俺が押し黙る。
忘れもしねーよ。
俺が生まれ育った地元の花火会。
茜に嫌われた忘れもしない花火大会。
あれから地元には一度も帰省していない。
俺の両親は今も北海道で仲睦まじく暮らしている。
だから帰省する意味がなかった。
茜に会いに行くこともできなかった。
「俺は待ちくたびれた。もう15年も待ちくたびれた。お前動かねーんだったら俺が動くから。取り敢えず10時に大学病院前のスタバで!」
長谷川は意味深な言葉を残すと一方的に電話を切った。
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