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「・・・うっせぇなぁ・・・」
きっとこの音はド級のドジ妹・桃音のド級ドジを発揮した音だろう。
「うっうわぁああああああぁっ」
という桃音の叫び声とともに何かが落ちた音がした。
アタシは呆れて「はぁ・・・なんであんなドジかなぁ・・・」とつぶやくと、再びヘッドフォンをつけ、パソコンの前に居座った。
ジャージが少々この時期にしては暑いが、エアコンは18度設定、北極かのように涼しい。
暑がりなアタシは毎日18度設定。
こんな引きこもりニートに18度設定をさせるなどという贅沢はもったいない、気もする。
すると、再び「うあああああああぁぁぁっ!?」という桃音の叫び声がアタシの部屋をいっぱいにする。
「・・・あーもう今度は何・・・・」
久しぶり(かなり)にリビングへ降りると、庭で母さんが倒れ、その隣で桃音が心配そうに慌てていた。
「・・・・何やってんの」
「お姉ちゃぁん・・・・」
桃音は今にも泣きそうだ。
・・・なぜ歳は2つしか違うのにこんなにも頼りなく、幼いのだろう。もう16歳なのに。
「熱中症じゃん。タオル」
「…えっ」
「タオル水濡らして持ってきて。水いれて洗面器も」
「あっ…えと…うん…!」
桃音はパタパタとスリッパの音を響かせ、キッチンへ向かった。
桃音がタオルを持ってくると、アタシは母さんの頭にタオルをのせた。
「こんまま病院つれてくよ、救急車よぶから、電話」
「えっと、はい!お母さん…大丈夫…なの…?」
「あとは医師に任せた方が良いでしょ。大丈夫よ。慌てんな。」
「う…うん…」
「お姉ちゃん、外に出るなんて珍しいね。」
アタシは「………フッ」と笑うと、「まぁね」と誇らしげに言った。
―病院にて―
「軽度の熱中症です。自宅で水分補給や風通しの良い場所で休むことをおすすめします。」
桃音は「よかったぁ」と胸を撫で下ろした。
はー・・・ほんと人騒がせなんだから・・・。
アタシは母さんと桃音を乗せて(アタシだけ別車で病院着)車を走らせた。
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