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手順はシンプル。 エネルギーの流れる方向(一度の狂いもなく南から北へだ)に対して鋭角に鏡を差し入れ正反射によってエネルギーを取り出す。 注意点としては角度を45度以上につけないことと、抽出作業は充電池容量をオーバーするだけの時間は行わない、ぐらいだろうか。 簡単なことだが、これらを守れなければ即、爆発だ。 何しろものすごい高出力かつ長波長のレーザーだ。 爆発時の高熱ではたとえAMSといえども瞬時に骨格フレームまで溶けてなくなるだろう。 いくら簡単な作業だとは言え、一度のミスがそのまま命取りになるのだから、心穏やかでいられるはずもない。 ましてや作業中にグールに襲われでもしたら、と考えると幾らでも慎重にならざるをえない。 オレの目には、過去に使われれていた地下鉄道の駅へと降りる階段が口を開いているのが映っていた。 ちっ 思わず舌打ちが漏れる。 少し場所を移動しようかと思った途端、まるでその考えが招いたかのように、地下鉄の駅へと降りる階段からグールが這い出てきたのだ。 人類の敵は、その必要もないだろうにキョロキョロ触角を動かして辺りを探ってから、こちらにアイカメラを向ける。 「ルー、離れて他見て」 その言葉だけで彼女はオレの意図を汲み取る。 ほっそりとした顎を軽く引くだけの仕種で頷くと、地下入り口を迂回するようにしてその向こう側へと移動する。 グールは一体だけとは限らない。 むしろこういった穴ぐらから出てくる場合というのは複数体いることが常だ。 そして何より地下鉄の駅の出口というのは、幾つかがわりと近い範囲に集中している。 ルーには他の出口をチェックしてもらうのだ。 臨戦態勢だ。 オレはAMS背面のレールガンを脇の下へとスライドさせる。 きゃりきゃりと音が鳴る。 その思ったよりも大きな音で、オレはあとでチェーン部の注油が必要だな、と思う。 砲口がグールに向き、レーザーポイントもほぼ同時に完了する。 キュン―― 音にならない音を残して撃ち放たれたのは、だが、オレのAMSのレールガンではなかった。 「グールは全部で10、いや9体。兄さんを合わせたらこっちは6機。――一緒にやらないか?」 どこか狼を思わせる蒼い機体。 ちょうど真横方向から姿を見せたそのAMSが撃った砲弾は、オレがターゲティングしたグールの頭部を破壊していた。
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