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ネットでの呼びかけに応えて、作戦参加を表明したAMS乗りは200人を超えるという。 その彼らが今続々とこの地に集結している。 昨日は知り合ったばかりのAMS5機と協力して9体のグールを片付けてから充電を済ませた後、前哨戦と称して湿地帯の掃討戦を行った。 色々と詰め込みすぎて長い1日だったのだが、ヤゴを見つけられたのは嬉しかった。 だが、考えるまでもなく楽観視はできない事態だ。 こんなはずれの方の駅ですら、立て続けに計10体のグールが出てきたのだから、大阪の地下は完全にヤツらに占拠されているとみて間違いないだろう。 今度の地下掃討作戦は文字通りの命がけ、あるいは生きて帰れないことを前提としなければいけないのかも知れない。 サポートロイドがいる分、多少は生存率も上がるのかもしれないが(昨日のAMS乗りたちにはさんざん羨ましがられた)、それでも生き残れるイメージは湧かない。 今からでも尻尾巻いて逃げるべきか、という考えは三十分おきに浮かんでくるが、さて。 一体どうしてオレは――というか、参加表明した200人はこんな無謀な作戦を遂行しようとしているのだろうか? ヒロイズムに酔っているのだろうか。 それとも、閉塞感ばかりが強まっていくだけの世界に嫌気がさして、カモフラージュされた自殺に身をやつそうとしているだけなのだろうか。 「なあ、ルー。お前だけでも街へ戻って新しい主人を見つけたらどうだ? そいつがAMS乗りじゃなかったら、こんな馬鹿げた作戦に付き合わされることもないだろうしよ」 センチになっているわけではないのだが、オレのヒロイズムだかニヒリズムだかに付き合わせて死なせてしまうのは、いくらアンドロイドといえども良くないことのような気がする。 「マスターが本当にそう望むのなら、命令(コマンド)すればいいでしょう」 ルーの返答は短い。 そして当人にそのつもりはないのだろうけども、オレの欺瞞を抉り出して突き付けてくれているようだ。 「いや、そうだな。すまん」 本気でそうするだけの覚悟もないクセに変に見栄を張ってしまったのは、昨日のイザコザのせいもある。
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