海と嫉妬と絶体絶命

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友達としてあまり感心できた事じゃないけれど、俺は氷呂がここに来る前に何があったのか、ある程度までは知っている。 お兄さんの事も、それ以外の事も。 だから、氷呂が伊瀬先輩を憎からず思っているにも関わらず先輩が延々放置プレイを喰らっている理由にも、ある程度の予想はついている。 お兄さんにされた事と同じ事を先輩にされて、先輩にお兄さんへ向けるものと同じ感情を持ってしまったら。 …まあ、大方そんな事を考えているんだろう。 そんな事を考えてる時点で、お兄さんと先輩は違うんだけどな。 「難儀な子だねえ」 「…はい?」 「なんでもない。そろそろ落ち着いた?夕食食べに行こうか」 俺の呟きに不審そうに眉を寄せる氷呂の頭を改めてぐりぐりと撫でてやり、少し離れた位置からこちらの様子を窺っている伊瀬先輩に見せ付けるように氷呂の肩を抱く。 「眞城?」 「氷呂、俺は氷呂のこと弟みたいに思ってるから、伊瀬先輩に泣かされたらいつでも俺に言いに来なさい」 「…はい、ありがとうございます。しかし眞城の方が誕生日は後ですよね」 「細かいことは気にしないの~」 いつか氷呂に言わなきゃならない日が来るかもしれない、でも、言わなくていいならずっと言いたくない。 言ってしまえば嫌われるかも知れない。 「…似た者同士だねー」 「誰とですか?」 「さあねー」
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